秘密保護法案 首相動静も■■■か?
特定秘密保護法案をめぐり、こんな議論まで飛び出した。
小池百合子元防衛相が衆院特別委員会で、
新聞の「首相動静」をやり玉に挙げた。
「毎日、何時何分に誰が入って何分に出たとか、
必ず各紙に出ている。知る権利を超えているのではないか」
その意に沿うように、27日の首相動静の一部を黒塗りにしてみると――。
首相動静、■日
【午前】■時■分、東京・■■■■町の■■省。■分、■■自衛隊ヘリコプターで同所発。
■■、■■■■■■■■■同行。■分、東京・■■■■町の■■■■駐屯地着。
【午後】■時■分、■■方面総監部庁舎で■■■■■相、■■■■副大臣らと食事。■時■分、
■■ヘリで同駐屯地発。■分、■■空港着。
情報統制のもとで、あえて首相の動きを伝えようとすると、こうなってしまう。
小池氏は「日本は機密に対する感覚をほぼ失っている平和ボケの国だ」とも述べ
た。
そうだろうか。
菅官房長官はその後の記者会見で「各社が取材して公になっている首相の動向な
ので、特定秘密の要件にはあたらない」と説明した。当然だ。
小池氏は第1次安倍内閣で、安全保障担当の首相補佐官に任命され、国家安全
保障会議(日本版NSC)の創設を主導してきた政治家である。情報公開を軽んじる
考えを国会で公言するような人物が、NSC法案や秘密保護法案を進めているという
ことか。
同じ安倍内閣で小池氏が経験した防衛相ポストは、秘密保護法案によれば、まさ
に特定秘密を指定する権限をもつ「行政機関の長」にあたる。
それを考えると、やはり秘密が際限なく増えていく懸念はぬぐえない。
一方、民主党政権の時代にも、秘密保全法制がらみの情報公開請求に対し、全面
黒塗りの資料が公開されたことがある。
「■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■」
こんな具合だ。
政治家や官僚は、だれのために働いているのか。原点から考え直してもらいたい。
たしかに首相動静は、他国の新聞ではあまり見ない欄だが、むしろ日本政府の透
明性を誇るべきではないか。
いったん秘密保護法が成立すれば、何が特定秘密かもわからなくなる。
黒塗りの文書でさえ出てこないのである。
2013/10/30
2013/10/28
資料 2013/10/28 Abeの目指すもの
(限界にっぽん)第5部・アベノミクスと雇用:5 「超低金利で新たなバブル」
■日米の金融緩和、壮大な実験 景気と雇用、重い役目
「米政府が支出を減らし、企業は投資に慎重になっているのではないか」
「ただ、雇用統計を見る限り、米国経済の緩やかな回復基調に変化はない」
東京・日本橋の日本銀行本店で6月に開かれた金融政策決定会合では、こんな議論が交わされた。
焦点は、米国の雇用情勢だった。会合の直前、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が、大量のお金を市場に流す「金融緩和」の規模を年内にも縮小させる可能性に言及していた。「量的緩和第3弾(QE3)」と呼ばれる大規模な金融緩和が「終わり」に向かうのか――。
FRBの動きを読むカギは、米国の雇用情勢にある。昨年末、「失業率が6・5%に下がるまで実質ゼロ金利政策を続ける」という目標を掲げたからだ。
4月に過去最大の金融緩和を打ち出した日銀も、雇用を注視するようになっている。黒田東彦(はるひこ)総裁は「2年で物価上昇率2%の目標を達成するには、雇用や賃金面の改善が欠かせない」と繰り返してきた。
アベノミクスの「第1の矢」として日銀が大規模緩和に踏み切り、円安・株高で景気は上向きだした。だが今後、雇用が増えて働き手の賃金が上がらなければ、景気の本格回復にはつながらず、物価が下がり続ける「デフレ」からも抜け出せない。
「円安で業績が良くなった企業が、設備投資をして雇用を増やしていくか。正社員の賃金を上げるのか。この2点が、大規模緩和の成否を占うカギになる」と、ある日銀幹部は言う。
増え続ける財政赤字にしばられた政府に代わり、FRBと日銀はともに、大規模緩和で景気を引き上げる役目を担わされた。「いかに雇用を増やすか」という重責が、両者の肩にずしりとのしかかっている。
■米で低賃金の「2等工員」増加
日本に先駆けて大規模緩和を続ける米国。失業率の改善を金融政策の目標に掲げるのは主要国で例がない。空前の規模の緩和で、果たして雇用をつくれるのか。壮大な「実験」には、はやくも限界がちらつく。
自動車産業が集まるミシガン州デトロイト郊外。午前3時すぎ、米大手クライスラーの工場から、仕事を終えた工員たちが一斉に出てきた。
急ぎ足で駐車場に向かうベテランたちの集団から少し離れ、うつむき加減で歩く男性(21)がいた。雇われたばかりの若手社員だ。同様の仕事をしても、給料はほかの人より低い。「2等工員」とも呼ばれる。
経営破綻(はたん)から立ち直りつつあるクライスラーは、増産とともに従業員も増やしている。ただし人件費を抑えるため、この男性のような作業員は「2階級賃金」制度の対象になる。時給は約16ドル(約1600円)にとどまり、同じ職場で約28ドルの給料をもらう先輩ら「1等工員」とは2倍近い差がある、と男性はいう。
「昇給にも限度があり、19ドルまでしか上がらない。かつては30ドル台に手が届き豊かな中流生活が保証された。だが、もはや夢だ」
月収は多いときで約2200ドル(約22万円)になるが、「生活はカツカツ。まだ結婚もできない」。失業者が多いデトロイトでは貴重な「正社員」とはいえ、「2等工員」の生活は厳しい。
2階級賃金制度は、自動車メーカー各社の労働コストを下げて競争力を高めるために、大手の労使が合意して導入された。リーマン・ショックで業界はどん底を味わったが、FRBの大規模緩和のおかげで景気回復とともに持ち直し、従業員を増やしている。新制度が適用されるため、「2等工員」が急増している。
職場では不満がつのる。「イラク従軍から戻ってきたら賃金が下がっている。階級制は廃止してほしい」
メーカー各社の勤務実態に詳しい地元政党・社会平等党のジェリー・ホワイト氏(53)は「不況によって自動車産業の『同一作業、同一賃金』の原則が崩れてしまった。失業率が下がっても、『雇用の質』は悪い」と指摘する。
FRBの大規模緩和の効果で、全米の失業率はリーマン・ショック直後の10・0%から7・2%まで改善した。だが、いまのペースでは、当時の雇用者数に回復するまで11年はかかる見込みだ。職が見つかっても低賃金の仕事が増えているので、典型的な米国人の暮らしぶりを示す「年収の中央値」はリーマン・ショック前より1割ほど少ない約5万1千ドル(約500万円)に下がった。
このため、失業率が改善しても景気回復の足取りは鈍い。「金融政策では補えない要因が影響している」と、FRBリッチモンド地区連銀のラッカー総裁はいう。
■「サブプライム」復活
債務上限の問題に揺れる米政府は、財政赤字を減らすのに必死だ。景気をよくするための唯一の手段として、「FRBが『金融政策』というアクセルを猛烈にふかさざるを得ない」(フィリップ・スウェーゲル元財務次官補)。
危険な兆候も出ている。
自動車業界の活況は、金融緩和で自動車ローンの金利が下がったことが大きい。デトロイトの自動車販売店「メロリス」には、10社もの金融業者が割安なローンを熱心に売り込む。「いまは中央銀行がせっせとお金を出しているので『カネ余り』。どの金融業者も融資先探しに懸命だ」と、ビル・パーキンズ社長(64)。
リーマン・ショックからまだ5年しかたっていないというのに、新たな「バブル」の芽が出てきた。
危機の原因になった金融商品も「復活」をとげている。信用度の低い人に貸す「低所得者向け(サブプライム)ローン」が自動車販売でも急増し、リスクが高いことで知られる金融投資「ジャンク債」の発行も過去最高の勢いだ。
雇用が増える前にバブルが起き、新たな危機の種をまいてしまっては元も子もない。FRBが苦戦しているのを見て、中央銀行のありかたを根本的に見直す検討が米議会で始まった。
金融政策に影響力のある上下院合同経済委員会のケビン・ブレイディー委員長は、FRBに求められている「最大雇用」と「物価の安定」という二つの使命のうち、「最大雇用」を取り下げて、物価の安定に専念させる法案を出した。
「FRBは手に余ることをやりすぎている。思うように失業を減らすことはできないのに雇用創出の大役を担わされ、低すぎる金利を長く続けて金融バブルやマネーゲームを促してしまっている」と批判する。
今月、オバマ大統領はFRBの次期議長にイエレン氏を指名した。「大規模な金融緩和を当面続けるだろう」と専門家たちは口をそろえる。危うい実験は、当分終わりそうにない。
(機動特派員・西崎香、高田寛)
■日米の金融緩和、壮大な実験 景気と雇用、重い役目
「米政府が支出を減らし、企業は投資に慎重になっているのではないか」
「ただ、雇用統計を見る限り、米国経済の緩やかな回復基調に変化はない」
東京・日本橋の日本銀行本店で6月に開かれた金融政策決定会合では、こんな議論が交わされた。
焦点は、米国の雇用情勢だった。会合の直前、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が、大量のお金を市場に流す「金融緩和」の規模を年内にも縮小させる可能性に言及していた。「量的緩和第3弾(QE3)」と呼ばれる大規模な金融緩和が「終わり」に向かうのか――。
FRBの動きを読むカギは、米国の雇用情勢にある。昨年末、「失業率が6・5%に下がるまで実質ゼロ金利政策を続ける」という目標を掲げたからだ。
4月に過去最大の金融緩和を打ち出した日銀も、雇用を注視するようになっている。黒田東彦(はるひこ)総裁は「2年で物価上昇率2%の目標を達成するには、雇用や賃金面の改善が欠かせない」と繰り返してきた。
アベノミクスの「第1の矢」として日銀が大規模緩和に踏み切り、円安・株高で景気は上向きだした。だが今後、雇用が増えて働き手の賃金が上がらなければ、景気の本格回復にはつながらず、物価が下がり続ける「デフレ」からも抜け出せない。
「円安で業績が良くなった企業が、設備投資をして雇用を増やしていくか。正社員の賃金を上げるのか。この2点が、大規模緩和の成否を占うカギになる」と、ある日銀幹部は言う。
増え続ける財政赤字にしばられた政府に代わり、FRBと日銀はともに、大規模緩和で景気を引き上げる役目を担わされた。「いかに雇用を増やすか」という重責が、両者の肩にずしりとのしかかっている。
■米で低賃金の「2等工員」増加
日本に先駆けて大規模緩和を続ける米国。失業率の改善を金融政策の目標に掲げるのは主要国で例がない。空前の規模の緩和で、果たして雇用をつくれるのか。壮大な「実験」には、はやくも限界がちらつく。
自動車産業が集まるミシガン州デトロイト郊外。午前3時すぎ、米大手クライスラーの工場から、仕事を終えた工員たちが一斉に出てきた。
急ぎ足で駐車場に向かうベテランたちの集団から少し離れ、うつむき加減で歩く男性(21)がいた。雇われたばかりの若手社員だ。同様の仕事をしても、給料はほかの人より低い。「2等工員」とも呼ばれる。
経営破綻(はたん)から立ち直りつつあるクライスラーは、増産とともに従業員も増やしている。ただし人件費を抑えるため、この男性のような作業員は「2階級賃金」制度の対象になる。時給は約16ドル(約1600円)にとどまり、同じ職場で約28ドルの給料をもらう先輩ら「1等工員」とは2倍近い差がある、と男性はいう。
「昇給にも限度があり、19ドルまでしか上がらない。かつては30ドル台に手が届き豊かな中流生活が保証された。だが、もはや夢だ」
月収は多いときで約2200ドル(約22万円)になるが、「生活はカツカツ。まだ結婚もできない」。失業者が多いデトロイトでは貴重な「正社員」とはいえ、「2等工員」の生活は厳しい。
2階級賃金制度は、自動車メーカー各社の労働コストを下げて競争力を高めるために、大手の労使が合意して導入された。リーマン・ショックで業界はどん底を味わったが、FRBの大規模緩和のおかげで景気回復とともに持ち直し、従業員を増やしている。新制度が適用されるため、「2等工員」が急増している。
職場では不満がつのる。「イラク従軍から戻ってきたら賃金が下がっている。階級制は廃止してほしい」
メーカー各社の勤務実態に詳しい地元政党・社会平等党のジェリー・ホワイト氏(53)は「不況によって自動車産業の『同一作業、同一賃金』の原則が崩れてしまった。失業率が下がっても、『雇用の質』は悪い」と指摘する。
FRBの大規模緩和の効果で、全米の失業率はリーマン・ショック直後の10・0%から7・2%まで改善した。だが、いまのペースでは、当時の雇用者数に回復するまで11年はかかる見込みだ。職が見つかっても低賃金の仕事が増えているので、典型的な米国人の暮らしぶりを示す「年収の中央値」はリーマン・ショック前より1割ほど少ない約5万1千ドル(約500万円)に下がった。
このため、失業率が改善しても景気回復の足取りは鈍い。「金融政策では補えない要因が影響している」と、FRBリッチモンド地区連銀のラッカー総裁はいう。
■「サブプライム」復活
債務上限の問題に揺れる米政府は、財政赤字を減らすのに必死だ。景気をよくするための唯一の手段として、「FRBが『金融政策』というアクセルを猛烈にふかさざるを得ない」(フィリップ・スウェーゲル元財務次官補)。
危険な兆候も出ている。
自動車業界の活況は、金融緩和で自動車ローンの金利が下がったことが大きい。デトロイトの自動車販売店「メロリス」には、10社もの金融業者が割安なローンを熱心に売り込む。「いまは中央銀行がせっせとお金を出しているので『カネ余り』。どの金融業者も融資先探しに懸命だ」と、ビル・パーキンズ社長(64)。
リーマン・ショックからまだ5年しかたっていないというのに、新たな「バブル」の芽が出てきた。
危機の原因になった金融商品も「復活」をとげている。信用度の低い人に貸す「低所得者向け(サブプライム)ローン」が自動車販売でも急増し、リスクが高いことで知られる金融投資「ジャンク債」の発行も過去最高の勢いだ。
雇用が増える前にバブルが起き、新たな危機の種をまいてしまっては元も子もない。FRBが苦戦しているのを見て、中央銀行のありかたを根本的に見直す検討が米議会で始まった。
金融政策に影響力のある上下院合同経済委員会のケビン・ブレイディー委員長は、FRBに求められている「最大雇用」と「物価の安定」という二つの使命のうち、「最大雇用」を取り下げて、物価の安定に専念させる法案を出した。
「FRBは手に余ることをやりすぎている。思うように失業を減らすことはできないのに雇用創出の大役を担わされ、低すぎる金利を長く続けて金融バブルやマネーゲームを促してしまっている」と批判する。
今月、オバマ大統領はFRBの次期議長にイエレン氏を指名した。「大規模な金融緩和を当面続けるだろう」と専門家たちは口をそろえる。危うい実験は、当分終わりそうにない。
(機動特派員・西崎香、高田寛)
資料 武器三原則 2013/10/28
禁輸三原則「撤廃」も/武器輸出に新指針検討/安倍首相前向き/歯止めの議論不可欠 2013/07/24 11:22
安倍政権は22日、武器禁輸政策の抜本見直しに向けた議論を8月から本格化させる方針を固めた。新たな指針の策定により、従来の武器輸出三原則を事実上「撤廃」することも視野に入れている。安倍晋三首相は撤廃に前向きという。政府筋が明らかにした。
防衛省は26日にも公表する新防衛大綱の中間報告に新指針の策定方針を盛り込む方向だ。冷戦下で共産圏への技術流出を防ぐ目的の三原則が、武器の国際共同開発が主流の現状にそぐわないとの判断からで、野田民主党政権が進めた禁輸緩和をさらに徹底する。国内防衛産業を育成する狙いもある。
参院選勝利を受け、首相は安全保障政策への取り組みを強化したい考えで、首相官邸や外務、防衛、経済産業各省の担当者が来月下旬から連絡会議をスタートさせる。全面解禁とはせずに、武器の共同開発に日本企業が参入する場合、国際紛争を平和的に解決するなどとした国連憲章の趣旨が守られることを条件とする案が浮上している。
憲法の平和主義と併せ、国民に長く受け入れられてきた三原則の撤廃には政府内にも慎重論が残っており、波紋を広げるのは必至だ。首相は国内外の意見を慎重に考慮し最終判断する構えだ。
武器輸出三原則は1967年、当時の佐藤栄作首相が国会で表明し、歴代政権が政府見解として踏襲してきた。法律には明文化されていない。
政府は、三原則の規制がある中で、米国とのミサイル防衛開発などに際し、個別に例外措置を適用してきたが、野田政権下の2011年、第三国移転や目的外使用を防ぐための事前同意を条件に、禁輸を大幅に緩和する基準を策定した。
だが、航空自衛隊に導入するF35戦闘機の国際共同開発は事前同意を得られない仕組みだったため、政府は今年3月、「国連憲章の順守」を条件に、あらためて例外扱いにするとの官房長官談話を発表し、国内防衛産業の参入を可能にした。
安倍政権は今後、個別に例外措置を取るより三原則に代わる新たな指針を明示し、武器の国際開発に積極参加する姿勢を鮮明にすべきだとの考えに傾いている。
■歯止めの議論不可欠
【解説】安倍政権が武器禁輸政策の抜本見直しに乗り出すのは、武器輸出三原則がハードルとなって世界の潮流である国際開発に乗り遅れ、安全保障分野の国益を損なう事態を恐れたためだ。日本の高度な技術が、国際紛争を助長する方向で転用される懸念は拭えない。三原則に代わる歯止めの仕組みは不可欠だ。
安倍晋三首相は3月の国会答弁で、紛争当事国への技術流出を理由に禁輸措置を取り続けることに疑問を呈し「どの国も紛争当事国になる恐れがある。全部排除できるのかという根本的な問題も真面目に検討していく必要がある」と強調した。
防衛省幹部は「日本にとって三原則は大切な国是だが、諸外国から理解されていない」と指摘し、首相の狙いを「東南アジア諸国に日本の防衛技術を売り込み、対中国の安全保障網を築くツールにしたい」と代弁した。
政府は3月にF35戦闘機の共同開発に国内企業の参入を認めた。その後、英国と化学防護服の開発で合意し、フランスとも協力を進めるなど実績を積み重ねている。三原則「撤廃」論は集団的自衛権行使の容認の動きと併せ、安倍カラーの一環と捉えることができる。
防衛産業側にも慎重意見がある。ある経団連幹部は「『死の商人』と呼ばれる可能性があるので世論が気になる。一気に撤廃しなくても、石橋をたたいて渡るように例外を積み重ねていけば良いのではないか」と、戸惑いを隠せない様子だ。
(共同通信)
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有識者懇、武器三原則見直し明記/「国家安全保障戦略」概要まとめ
2013/10/22 10:12
安倍晋三首相が設置した「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・北岡伸一国際大学長)は21日、外交と安全保障の包括的な指針となる「国家安全保障戦略」の概要をまとめた。他国との防衛装備・技術協力を拡大する観点から、武器や関連技術の輸出を原則的に禁じる「武器輸出三原則」の見直しを明記した。中国や北朝鮮の軍事力増強を脅威と位置付け、領域保全強化や海上安全保障の確保を打ち出した。
基本理念として世界の平和と安定に積極的な責任を果たす「積極的平和主義」を掲げたが、別の有識者懇談会で検討している集団的自衛権の行使容認は明示しなかった。戦略は政府が年内発足を目指す日本版「国家安全保障会議(NSC)」の運営指針とする。
安保政策の方向性や自衛隊の運用に大きな変化をもたらす内容で、国内外から懸念も出そうだ。
政府は今後、概要を基に与党や関係省庁と調整して最終案をつくり、12月に新防衛大綱とともに閣議決定する。安保環境の変化を踏まえて戦略は随時見直し、10年以内に大幅な改定を行う方針だ。
首相は21日の会合で「皆さんの意見を伺い、政府の国家安全保障戦略の策定作業を加速させていく。積極的平和主義の下で行う政策を具体化する」と意欲を表明した。
概要は、東シナ海や南シナ海で海洋進出を活発化させる中国をにらみ「近年、資源の確保や自国の安全保障の観点から『力』による現状変更を企図する動きが増加」していると指摘。シーレーン(海上交通路)の安定や航行の自由を脅かされるリスクの増大に対して懸念を示した。
拡散・多様化する国際テロへの対処や、日米同盟強化、国連平和維持活動(PKO)など国際平和協力の推進を強調。国際的なサイバー攻撃の脅威にも言及し、政府の体制強化とともに官民連携を通じた対策を講じることを盛り込んだ。
安全保障を支える国内基盤を強化するため「国を愛する心」の育成や、安保教育の拡充が必要とした。
▼安全保障と防衛力に関する懇談会
安全保障と防衛力に関する懇談会 安倍晋三首相が外交・安全保障の包括的な指針となる「国家安全保障戦略」策定のため設置した私的諮問機関。首相の外交ブレーンの谷内正太郎内閣官房参与や官僚OB、学者ら8人で構成。9月12日に首相や菅義偉官房長官らも出席し初会合を開き、これまで計3回の懇談会を開催した。座長の北岡伸一国際大学長は、集団的自衛権の在り方を検討している「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」座長代理も務めるなど一部メンバーが重なる。
(共同通信)
安倍晋三首相 |
防衛省は26日にも公表する新防衛大綱の中間報告に新指針の策定方針を盛り込む方向だ。冷戦下で共産圏への技術流出を防ぐ目的の三原則が、武器の国際共同開発が主流の現状にそぐわないとの判断からで、野田民主党政権が進めた禁輸緩和をさらに徹底する。国内防衛産業を育成する狙いもある。
参院選勝利を受け、首相は安全保障政策への取り組みを強化したい考えで、首相官邸や外務、防衛、経済産業各省の担当者が来月下旬から連絡会議をスタートさせる。全面解禁とはせずに、武器の共同開発に日本企業が参入する場合、国際紛争を平和的に解決するなどとした国連憲章の趣旨が守られることを条件とする案が浮上している。
憲法の平和主義と併せ、国民に長く受け入れられてきた三原則の撤廃には政府内にも慎重論が残っており、波紋を広げるのは必至だ。首相は国内外の意見を慎重に考慮し最終判断する構えだ。
武器輸出三原則は1967年、当時の佐藤栄作首相が国会で表明し、歴代政権が政府見解として踏襲してきた。法律には明文化されていない。
政府は、三原則の規制がある中で、米国とのミサイル防衛開発などに際し、個別に例外措置を適用してきたが、野田政権下の2011年、第三国移転や目的外使用を防ぐための事前同意を条件に、禁輸を大幅に緩和する基準を策定した。
だが、航空自衛隊に導入するF35戦闘機の国際共同開発は事前同意を得られない仕組みだったため、政府は今年3月、「国連憲章の順守」を条件に、あらためて例外扱いにするとの官房長官談話を発表し、国内防衛産業の参入を可能にした。
安倍政権は今後、個別に例外措置を取るより三原則に代わる新たな指針を明示し、武器の国際開発に積極参加する姿勢を鮮明にすべきだとの考えに傾いている。
【解説】安倍政権が武器禁輸政策の抜本見直しに乗り出すのは、武器輸出三原則がハードルとなって世界の潮流である国際開発に乗り遅れ、安全保障分野の国益を損なう事態を恐れたためだ。日本の高度な技術が、国際紛争を助長する方向で転用される懸念は拭えない。三原則に代わる歯止めの仕組みは不可欠だ。
安倍晋三首相は3月の国会答弁で、紛争当事国への技術流出を理由に禁輸措置を取り続けることに疑問を呈し「どの国も紛争当事国になる恐れがある。全部排除できるのかという根本的な問題も真面目に検討していく必要がある」と強調した。
防衛省幹部は「日本にとって三原則は大切な国是だが、諸外国から理解されていない」と指摘し、首相の狙いを「東南アジア諸国に日本の防衛技術を売り込み、対中国の安全保障網を築くツールにしたい」と代弁した。
政府は3月にF35戦闘機の共同開発に国内企業の参入を認めた。その後、英国と化学防護服の開発で合意し、フランスとも協力を進めるなど実績を積み重ねている。三原則「撤廃」論は集団的自衛権行使の容認の動きと併せ、安倍カラーの一環と捉えることができる。
防衛産業側にも慎重意見がある。ある経団連幹部は「『死の商人』と呼ばれる可能性があるので世論が気になる。一気に撤廃しなくても、石橋をたたいて渡るように例外を積み重ねていけば良いのではないか」と、戸惑いを隠せない様子だ。
(共同通信)
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有識者懇、武器三原則見直し明記/「国家安全保障戦略」概要まとめ
2013/10/22 10:12
安倍晋三首相が設置した「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・北岡伸一国際大学長)は21日、外交と安全保障の包括的な指針となる「国家安全保障戦略」の概要をまとめた。他国との防衛装備・技術協力を拡大する観点から、武器や関連技術の輸出を原則的に禁じる「武器輸出三原則」の見直しを明記した。中国や北朝鮮の軍事力増強を脅威と位置付け、領域保全強化や海上安全保障の確保を打ち出した。
基本理念として世界の平和と安定に積極的な責任を果たす「積極的平和主義」を掲げたが、別の有識者懇談会で検討している集団的自衛権の行使容認は明示しなかった。戦略は政府が年内発足を目指す日本版「国家安全保障会議(NSC)」の運営指針とする。
安保政策の方向性や自衛隊の運用に大きな変化をもたらす内容で、国内外から懸念も出そうだ。
政府は今後、概要を基に与党や関係省庁と調整して最終案をつくり、12月に新防衛大綱とともに閣議決定する。安保環境の変化を踏まえて戦略は随時見直し、10年以内に大幅な改定を行う方針だ。
首相は21日の会合で「皆さんの意見を伺い、政府の国家安全保障戦略の策定作業を加速させていく。積極的平和主義の下で行う政策を具体化する」と意欲を表明した。
概要は、東シナ海や南シナ海で海洋進出を活発化させる中国をにらみ「近年、資源の確保や自国の安全保障の観点から『力』による現状変更を企図する動きが増加」していると指摘。シーレーン(海上交通路)の安定や航行の自由を脅かされるリスクの増大に対して懸念を示した。
拡散・多様化する国際テロへの対処や、日米同盟強化、国連平和維持活動(PKO)など国際平和協力の推進を強調。国際的なサイバー攻撃の脅威にも言及し、政府の体制強化とともに官民連携を通じた対策を講じることを盛り込んだ。
安全保障を支える国内基盤を強化するため「国を愛する心」の育成や、安保教育の拡充が必要とした。
▼安全保障と防衛力に関する懇談会
安全保障と防衛力に関する懇談会 安倍晋三首相が外交・安全保障の包括的な指針となる「国家安全保障戦略」策定のため設置した私的諮問機関。首相の外交ブレーンの谷内正太郎内閣官房参与や官僚OB、学者ら8人で構成。9月12日に首相や菅義偉官房長官らも出席し初会合を開き、これまで計3回の懇談会を開催した。座長の北岡伸一国際大学長は、集団的自衛権の在り方を検討している「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」座長代理も務めるなど一部メンバーが重なる。
(共同通信)
2013/10/27
資料 2013/10/27 ①
東電、除染費用支払い拒否 74億円、国は黙認
東電は国から最大5兆円の支援を受けることを前提に再建計画を作成。住民らへの賠償費用として3,8兆円を見込む一方、除染費用は「必要が予測できない」として52億円しか入れていない。国の除染予算は今年度時点で1,3兆円に上がり、再建計画ははすでに崩壊状態だ。東電は除染費用の支払いを渋り、最後は税金での穴埋めを狙っているとの疑念を招いている。
国も東電に請求すると言いつつ、、除染費用をほぼ無視した再建計画を認めている。与党内では国が負担する案が浮上し、経済産業省は歓迎。一方、財務省は東電が電気料金から支払うべきだとの姿勢を崩していない。政府内の議論はまとまらず、巨額の除染費用から目を背けて問題を先送りしているのが現状だ。
この結果、除染をどこまで徹底するのかという根本的問題は放置され、住民の帰還計画は定まらない。地元の反発を恐れて国も東電も支払い拒否の事実さえ公表せず、責任の所在をぼかしている。このままでは「除染の加速」はおぼつかない。
(多田敏夫)・・・・・・この部分打ち込みです。突かれた!
【関根慎一、多田敏男】東京電力が除染事業の大半の項目について費用の支払いに応じない考えを2月時点で国に明確に伝えていたことが、朝日新聞が環境省への情報公開請求で得た文書でわかった。国はこれを公表せず、支払い拒否を黙認している。
国が除染費用を立て替えた後、東電に請求するのが「放射性物質汚染対処特別措置法」の規定だ。環境省は現在までに計404億円を請求したが、東電が支払ったのは67億円。国や東電は「内容の確認に時間がかかっている」とし、手続き上の問題と説明してきた。
ところが、東電は2月21日付で環境省に送った文書で、昨年11月の第1回請求分の大半について「支払いが困難であるとの結論に至った」と拒否。環境省が説明を求めると、2月27日付の回答文書で、第2回請求分をあわせた149億円(118項目)のうち、74億円(95項目)について個別に支払わない理由を列挙した。さらに、賠償交渉を仲介する「原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)」に委ねることを検討するよう提案した。
例えば、除去した土などを保管する中間貯蔵施設の事前調査などの1億円について、東電は「相当因果関係を認めることができるか疑義がある。事前調査や研究などは、国の政策的な努力義務」として支払い不能と回答。除染技術を試すための4・4億円や広報業務費9・6億円も「特措法に基づく措置ではない」と主張していた。
環境省は3月1日付で「特措法の解釈権は国にあり東電に支払いの責任がある」と反論する文書を送ったが、ADRへの申し立てなどの対抗策はとっていない。
☆ 公費投入 責任棚上げ
5兆円強に膨らむとされる費用を誰が負担するのかを棚上げし、国が除染事業に巨額の公費を投入し続けている実態が公文書で判明した。東電は法律に基づいて請求された支払いに応じず、国も厳しく取り立てていない。東電の破綻を回避するため、「暗黙の了解」が成立している。
国も東電に請求すると言いつつ、、除染費用をほぼ無視した再建計画を認めている。与党内では国が負担する案が浮上し、経済産業省は歓迎。一方、財務省は東電が電気料金から支払うべきだとの姿勢を崩していない。政府内の議論はまとまらず、巨額の除染費用から目を背けて問題を先送りしているのが現状だ。
この結果、除染をどこまで徹底するのかという根本的問題は放置され、住民の帰還計画は定まらない。地元の反発を恐れて国も東電も支払い拒否の事実さえ公表せず、責任の所在をぼかしている。このままでは「除染の加速」はおぼつかない。
(多田敏夫)・・・・・・この部分打ち込みです。突かれた!
2013/10/25
資料 特定秘密保護法案 等のまとめ 2013/10/25
特定秘密保護法案に関するトピックス
安倍内閣が25日午前に閣議決定した特定秘密保護法案の全文は、次の通り。[全文へ]
特定秘密保護法案の全文(10/25)
安倍内閣が25日午前に閣議決定した特定秘密保護法案の全文は、次の通り。[全文へ]
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安倍政権は秋の臨時国会に特定秘密保護法案を提出する予定です。どんな内容の法案で、どの点が問題となっているのか、解説していきます。(連載期間:2013年9月)
(1)記者の取材活動も処罰される?
(2)なぜ急ぐの? 外国の情報、国内から漏れ防ぐ
(3)なぜ厳罰化? 米に配慮、懲役10年の対象拡大
(4)適性評価って? 職員の資質見極め、差別の恐れも
(5)パブリックコメントでは? 賛成13%、反対77%
(6)指定するのは誰? 「行政機関の長」客観性が課題
(7)誰が扱うの? 資格ある公務員や民間人
(8)いつまで秘密なの? 永久に公開しないことも可能
(9)過去にも浮上? 「スパイ防止法」世論の反発で廃案
(2)なぜ急ぐの? 外国の情報、国内から漏れ防ぐ
(3)なぜ厳罰化? 米に配慮、懲役10年の対象拡大
(4)適性評価って? 職員の資質見極め、差別の恐れも
(5)パブリックコメントでは? 賛成13%、反対77%
(6)指定するのは誰? 「行政機関の長」客観性が課題
(7)誰が扱うの? 資格ある公務員や民間人
(8)いつまで秘密なの? 永久に公開しないことも可能
(9)過去にも浮上? 「スパイ防止法」世論の反発で廃案
資料 日本版NSC法案 2013/10/24
日本版NSC法案
公明新聞:2013年10月24日(木)付
国家安全保障会議を創設へ
わが国の外交・安全保障政策の司令塔機能を強化する日本版NSC(国家安全保障会議)の創設に向け、政府は関連法案の今国会成立をめざしている。日本版NSCの創設が求められる背景と、法案のポイントを解説する。
防衛大綱をはじめ、わが国の外交・安全保障政策は現在、政府の安全保障会議で審議、決定されている。2001年に発生した9.11米国同時多発テロ以降、世界の安全保障環境は目まぐるしく変化し、現在の安保会議では十分に対応できないケースが目立ってきている。
日本人を含む多くの犠牲者を出した今年1月のアルジェリア人質事件では、現地からの情報を得ることが難しく、数多くの断片的な情報が錯綜した。対応に当たった菅官房長官は自身のブログで「情報が集約されずに、個別に官邸に報告され、各省庁の連携も不十分といった実態を目のあたりにした」と、省庁縦割りの弊害を指摘している。国内外の情報の集約・分析能力を高める体制を構築しなければならない。
また、現在の安保会議は議長である首相の諮問に基づいて、防衛大綱など国防に関する重要事項を審議することが大きな役割になっている。審議のテーマが限られており、わが国の外交・安保戦略を実質的に議論するには限界がある。構成メンバーも9大臣と多いため、機動的な開催が難しく、「形式的決定の会合になっている」(内閣官房)のが実情だ。
現在の安保会議には事務を受け持つ専任のスタッフ組織がなく、サポート体制も不十分だ。現在は内閣官房副長官補と、そのスタッフが他の事務を行いながら、安保会議の事務を担っている。
予測が困難なテロなどの発生に備えるには、平時から情報収集に努め、緊急事態への対応方針などを日常的に議論する体制整備が欠かせない。安保会議の抜本的な機能強化を急がなければならない。
日本版NSC法案では、現在の安保会議を改組して「国家安全保障会議」を設置する。審議形態は4大臣会合、9大臣会合、緊急事態大臣会合の三つがある【イメージ図参照】。
中核となるのは、首相、官房長官、外相、防衛相で構成される4大臣会合だ。平素から機動的・定例的に会議を開き、国家安全保障に関する外交・防衛政策について実質的に審議するほか、中長期的な戦略などの基本方針を定める。わが国の外交・安保政策の司令塔機能を果たす。
会合は2週間に1回程度の頻度で開いていく方針。各府省庁に局長級の連絡官を置いて資料や情報を定期的に提出させ、情報収集を強化。緊急事態に備え、政治の意思決定を迅速にできる環境を整える。
9大臣会合は現在の安保会議をそのまま引き継ぐ。審議事項や構成メンバーも変わらない。
首相と官房長官のほか、首相があらかじめ指定した閣僚が出席する緊急事態大臣会合は、緊急事態への対処強化が目的だ。例えば、領海侵入や不法上陸の事案が発生した場合は、法相、外相、国土交通相、防衛相、国家公安委員長が加わり、事態の対応を審議する。
日本版NSCの議長である首相は、必要に応じて他の閣僚を会議に呼ぶことができる。三つの審議形態は別々の会議があるわけではなく、4大臣会合が柔軟に変化するイメージだ。
日本版NSCを補佐する体制も強化する。
首相のアドバイザーとして国家安全保障担当の首相補佐官を常設する。同補佐官は4大臣会合に常時出席し、助言ができる。
さらに、事務局となる国家安全保障局を内閣官房に新設する。数十人の規模で発足し、府省庁間の調整や政策の企画・立案、4大臣会合に提出された情報の整理や分析などを行う。国家安全保障局長は内閣危機管理監と同格で、外政担当と安全保障・危機管理担当の内閣官房副長官補を局次長に配置。重層的なサポート体制が整備される。
最大の課題は情報管理の在り方だ。審議の仕組みを整えても、機密情報などの質の高い情報が入ってこなければ、十分な機能を発揮できない。情報漏洩を防ぐ対策が不可欠だ。
政府は、機密情報を漏らした国家公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案を近く国会提出する方針だ。当初の政府案では国民の「知る権利」や「報道の自由」が制限される懸念があったが、公明党の強い要請で修正された。政府・与党は日本版NSCと特定秘密保護の両法案の早期成立をめざす。
なぜ必要か
現行の安保会議は縦割りや形式的な運用が目立つ防衛大綱をはじめ、わが国の外交・安全保障政策は現在、政府の安全保障会議で審議、決定されている。2001年に発生した9.11米国同時多発テロ以降、世界の安全保障環境は目まぐるしく変化し、現在の安保会議では十分に対応できないケースが目立ってきている。
日本人を含む多くの犠牲者を出した今年1月のアルジェリア人質事件では、現地からの情報を得ることが難しく、数多くの断片的な情報が錯綜した。対応に当たった菅官房長官は自身のブログで「情報が集約されずに、個別に官邸に報告され、各省庁の連携も不十分といった実態を目のあたりにした」と、省庁縦割りの弊害を指摘している。国内外の情報の集約・分析能力を高める体制を構築しなければならない。
また、現在の安保会議は議長である首相の諮問に基づいて、防衛大綱など国防に関する重要事項を審議することが大きな役割になっている。審議のテーマが限られており、わが国の外交・安保戦略を実質的に議論するには限界がある。構成メンバーも9大臣と多いため、機動的な開催が難しく、「形式的決定の会合になっている」(内閣官房)のが実情だ。
現在の安保会議には事務を受け持つ専任のスタッフ組織がなく、サポート体制も不十分だ。現在は内閣官房副長官補と、そのスタッフが他の事務を行いながら、安保会議の事務を担っている。
予測が困難なテロなどの発生に備えるには、平時から情報収集に努め、緊急事態への対応方針などを日常的に議論する体制整備が欠かせない。安保会議の抜本的な機能強化を急がなければならない。
法案の内容は
4大臣会合を司令塔に情報収集、意思決定など迅速化日本版NSC法案では、現在の安保会議を改組して「国家安全保障会議」を設置する。審議形態は4大臣会合、9大臣会合、緊急事態大臣会合の三つがある【イメージ図参照】。
中核となるのは、首相、官房長官、外相、防衛相で構成される4大臣会合だ。平素から機動的・定例的に会議を開き、国家安全保障に関する外交・防衛政策について実質的に審議するほか、中長期的な戦略などの基本方針を定める。わが国の外交・安保政策の司令塔機能を果たす。
会合は2週間に1回程度の頻度で開いていく方針。各府省庁に局長級の連絡官を置いて資料や情報を定期的に提出させ、情報収集を強化。緊急事態に備え、政治の意思決定を迅速にできる環境を整える。
9大臣会合は現在の安保会議をそのまま引き継ぐ。審議事項や構成メンバーも変わらない。
首相と官房長官のほか、首相があらかじめ指定した閣僚が出席する緊急事態大臣会合は、緊急事態への対処強化が目的だ。例えば、領海侵入や不法上陸の事案が発生した場合は、法相、外相、国土交通相、防衛相、国家公安委員長が加わり、事態の対応を審議する。
日本版NSCの議長である首相は、必要に応じて他の閣僚を会議に呼ぶことができる。三つの審議形態は別々の会議があるわけではなく、4大臣会合が柔軟に変化するイメージだ。
日本版NSCを補佐する体制も強化する。
首相のアドバイザーとして国家安全保障担当の首相補佐官を常設する。同補佐官は4大臣会合に常時出席し、助言ができる。
さらに、事務局となる国家安全保障局を内閣官房に新設する。数十人の規模で発足し、府省庁間の調整や政策の企画・立案、4大臣会合に提出された情報の整理や分析などを行う。国家安全保障局長は内閣危機管理監と同格で、外政担当と安全保障・危機管理担当の内閣官房副長官補を局次長に配置。重層的なサポート体制が整備される。
最大の課題は情報管理の在り方だ。審議の仕組みを整えても、機密情報などの質の高い情報が入ってこなければ、十分な機能を発揮できない。情報漏洩を防ぐ対策が不可欠だ。
政府は、機密情報を漏らした国家公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案を近く国会提出する方針だ。当初の政府案では国民の「知る権利」や「報道の自由」が制限される懸念があったが、公明党の強い要請で修正された。政府・与党は日本版NSCと特定秘密保護の両法案の早期成立をめざす。
2013/10/25 資料1
本家よりアップルらしくなってきたアマゾン 編集委員 村山恵一
これまで6勝6敗。さて次は? そんな思いで、米アップルが22日開いたiPad発表会に注目していた。2007年1月から先月まで、iPhone、iPadの新製品お披露目は12回。発表当日に同社株の終値が前日を上回ったのが6回、下回ったのが6回だ。事前の報道合戦で情報が出尽くすことが多く、株価上昇を誘うサプライズを発表会で示すのは難しい会社ではある。それでも最近の物足りなさは否めない。1年前のiPadミニ発表日は3.2%、9月のiPhone5s、5c発表時も2.2%株価が下落した。
・ブルームバーグ・ビジネスウイーク10月14日号 The Secrets Of Bezos |
・10月17日日経朝刊12面 新キンドル、3割軽く、アマゾン来月発売 |
・10月23日日経夕刊1面 新iPad薄く軽く アップル、来月1日発売 |
そして22日。結果は0.3%安だった。「アップルにしかできないイノベーションだ」。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は胸を張ったが、先行き懸念のもやもやが消えたとは言えない。株価上昇の最高記録は07年の初代iPhone発表日の8.3%のままだ。
■アップルの外側にも広がるジョブズ氏の経営手法
創業者スティーブ・ジョブズ前CEOの死去から2年。その思想が社内で薄まり失速しているのか。そうは思えない。例えば高級ファッションブランド、英バーバリーのCEOを上級副社長に迎える人事。ジョブズ氏が重視した小売部門を託す人材として納得感は高い。クック氏はジョブズ流を忠実に踏襲しているようにみえる。むしろ変化しているのは社外。アップルにとってのプレッシャーはジョブズ氏の経営手法がアップルの外側にも広がり、強力なライバルになっていることではないか。
米有力誌ヴァニティ・フェア11月号は経済や政治、文化に影響力を持つ変革者50人ランキングの1位に米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOを選んだ(昨年3位)。2位は米グーグルの創業者ふたり。昨年トップだったアップルのクック氏とジョニー・アイブ上級副社長(デザイン担当)のコンビは3位になった。
同誌によると、ベゾス氏はこの夏、米カリフォルニア州にある子会社Lab126で長い時間を過ごした。アップル本社から車で3分の場所にある研究開発拠点だ。今月半ば、Labに所属しアマゾン独自の端末キンドルを担当するハーベー・リターナー氏(プリンシパル・プロダクト・マネジャー)に日本で話を聞く機会があった。
――アマゾン社員でも関係者以外はなかなか近づけない。Labのようすは。
「ハード、OS(基本ソフト)、アプリ、サービスを統合するのがビジョン。素材、ディスプレー、デザイン、エレクトロニクスなどの専門家が垣根を越えてコミュニケーションしている」
――テレビ電話のように専門家を呼び出し技術相談できる機能を新型タブレットに盛り込んだ。
「これにとても熱心なのがベゾスCEOだ。顧客中心主義のあらわれと言っていた」
ジョブズ氏は生前、アイブ氏がいるデザイン部門に頻繁に顔を出し対話によってアイデアを磨いた。端末づくりの前線基地であるLabの開発チームを鼓舞するベゾス氏の姿はそんなジョブズ氏とダブる。インタビューでは豪快な笑い方が印象的なベゾス氏も社員のミスや怠慢は見逃さず、辛らつな言葉を浴びせるという。ぴりぴりした緊張感で社員を追い込み、能力を引き出したジョブズ氏に通じるところだ。
もちろんジョブズ流をなぞるだけならつまらない。ベゾス氏の場合、新聞、宇宙、ロボットなど関心の幅は広い。クラウドコンピューティングや物流網などネットとリアルにまたがるインフラも築いている。次は何をしかけてくるのか。かつてジョブズ氏に集まったような世間の期待がベゾス氏に向かい、変革者ランキングの順位を押し上げる。
■どんな面白さ、驚きを埋め込めるか
今週はじめ、地下鉄に乗ってつり革につかまると、スマートフォン用ゲームアプリの紹介とともに、「スマホをかざすと、この場で買えます。」との一文が目に入った。近距離無線のNFCタグがつり革に仕込まれ、即刻ダウンロードできるしくみだった。グーグルのアプリ配信サービスのPR活動で、改めて車内を見渡すと中づり広告までグーグル一色。アプリエコノミーもジョブズ氏が先駆者だが、グーグル率いるアンドロイドOS陣営が台頭し、エコシステムの拡大へユニークな策を繰り出す。
米マイクロソフトさえ自社端末を売る時代だ。ハード、ソフト、サービスを一体開発するジョブズ氏の手法はもはや「業界標準」といえる。「軽くて薄くて使いやすい」は当たり前で、そこにどんな面白さ、驚きを埋め込めるかがこれからの勝負どころだろう。過去の延長線的な経営を続けていてはイノベーション銘柄の本家アップルの名が廃る。
2013/10/24
資料作成 テスト1
(伝える東日本大震災3年目)教訓生きた「奇跡の集落」
2013年10月21日10時11分
【杉村和将】岩手県大船渡市の吉浜地区は「奇跡の集落」と呼ばれる。震災で津波の直撃を受けながら、人的被害が行方不明1人にとどまった。「決して低地に下りてはいけない」。明治と昭和の2度の大津波を教訓にした先人の教えが、今も脈々と受け継がれていた。
大船渡市の吉浜地区は扇状地が海に向かって開け、津波の直撃を受けやすい。浜辺には防潮堤の残骸が散らばり、更地が広がる。幸いなことに、津波をかぶった場所にはだれも住んでいなかった。
多くの住宅が並ぶのは、浜から300メートルほど離れた標高16~20メートルの県道より内陸にある高台だ。県道や国道の周辺に480世帯が点在する。その高台に居を構える木川田平三郎さん(79)は農家と漁業の「半農半漁」で暮らす。
大船渡市の吉浜地区は扇状地が海に向かって開け、津波の直撃を受けやすい。浜辺には防潮堤の残骸が散らばり、更地が広がる。幸いなことに、津波をかぶった場所にはだれも住んでいなかった。
多くの住宅が並ぶのは、浜から300メートルほど離れた標高16~20メートルの県道より内陸にある高台だ。県道や国道の周辺に480世帯が点在する。その高台に居を構える木川田平三郎さん(79)は農家と漁業の「半農半漁」で暮らす。
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